防空識別圏
平成18年2月24日(金)
外務委員会で麻大臣に防空識別圏について質問しました。
○渡辺(博)委員 おはようございます。自由民主党の渡辺博道でございます。

 
きょうは、通常国会の第一回目の外務委員会としての一般質疑に入りました。

 
その前に、きょうは大変私自身も感動したところでありますけれども、トリノのオリンピック、ようやく日本が金メダルを獲得することができました。本当にうれしいわけであります。日本の国民が待ちに待った金メダルでありました。

 そのように、日本外交も国民に大きなプレゼントをしていただけるように、麻生外務大臣にはしっかりと頑張っていただきたいわけでございます。とりわけ麻生外務大臣は、ポスト小泉と言われている一人でございます。これからの日本をどのように考えていくのか、そして日本をどのような方向に進めていくのか、大変重要な役割を担っているわけであります。

 そこで私は、昨年戦後六十周年を迎えたこの日本の姿、過去六十年の歩みをどのように外務大臣は統括しているのか、お聞かせをいただきたい、そのように思っております。

 私たちの日本は、敗戦からさまざまな紆余曲折を経て、世界第二位という大国になったわけであります。その間、国際状況も大いに変わってまいりました。冷戦状況の終結、そしてまた、今は国連の改革も取り組んでいる、そういった状況の中であります。麻生外務大臣は、この過去日本の六十年の姿をどのように統括していらっしゃるか、改めてお伺いをしたいと思います。

○麻生国務大臣 六十年の間、今渡辺先生おっしゃるように、紆余曲折があったことは確かです。社会主義をとるか自由主義をとるかでも、講和条約締結までの間は随分もめましたし、いろいろな意味で、この国の国家戦略の選択というのによって国論が二分するようなこともあったわけですけれども、基本的には、講和条約を締結した後、少なくとも日本という国は、経済的繁栄と民主主義を通じて平和と幸せを求めるというのが多分国民的コンセンサスだったんだと思いますが、敗戦した後の日本が、もはや戦後ではないと言う言葉がでるまで約十年、結果として、今日までの繁栄を築き、資源というものが極めて乏しい国家が世界第二位の経済大国にのし上がったというのは、少なくとも日本として誇るべき結果を出しておる、私どもは基本的にはそう思っております。

 少なくとも、今、海外から見られても、これは最近データでガセじゃないかという話がよくありますけれども、これは米国、BBCがやった世論調査、メリーランド大学との世論調査というのが、世界三十三カ国、約四万人を対象にした世論調査が出ておりますので、日本というのは、大多数の三十一カ国の中で、よい影響を与えているというのと悪い影響を与えるというのは、よい影響をあたえているというのが圧倒的に上回って、国別ではトップという印象を与えております。

 この資料によりますと、アジアの中で、インドネシアで八五%、フィリピンで七九%の支持率等々が出ておりますので、そういう意味では、日本という国は、ヨーロッパ、これはEUですから、EUが一番ということではありますが、EUというのは御存じのような状況ですので、国別としては一番ということを占めたというのは、それなりの日本の成果というものは上がってきているのではないかというように分析すべきではないかと思っております。

○渡辺(博)委員 今大臣は、過去六十年をわずか三分近くで統括をしていただきました。

 そこで、これからの日本はどのような外交を進めていかなければならないか、これが大変重要な問題であります。とりわけアジアとの関係、どのように取り組むかであります。特に中国、韓国、ロシア。

 実は先日、二日前ですか、ロシアの方で、外務大臣の発言に対して遺憾の意を、内政干渉だというようなお話がありましたけれども、私はちょっと具体的な内容は存じ上げておりません。でも、内政干渉だと言わせる何らかがあったんではないかな、ちょっとそこが気になるんですが、この部分について、ちょっと質問の通告がありませんが、内容についてお聞かせいただきたいと思います。

○麻生国務大臣 二十二日でしたか、私どもの在ロシア大使館の臨時代理大使が、先方のアレクセーエフ、ロシアの事務次官に言われて、今一連の話があっておった、私の発言に対していろいろ向こうがあっておりますけれども、いわゆる抗議を受けたというような話ではありません。よく新聞は抗議と書いてありましたけれども、抗議を受けたという事実はありません。

 それに対しまして、私どもの方からロシアのガルージン駐日公使に対して、タウンミーティングの話なんですけれども、タウンミーティングにおける北方四島問題に関する話というのは、これは基本的にまだ平和条約とか国境を画定したという条約ができておりませんから、そういった意味では、こういった平和条約等々を締結する、それに基づいて国境を画定するということにしておりますので、北方四島の、住んでいるロシア人なんですけれども、日ロ間で信頼醸成、信頼関係というのを醸成するということと、相互理解というものを深めるということをやっていくことが重要なんじゃないかという話をしたのであって、内政干渉と解し得る発言は何回読み直してみてもないのではないかということを言って、ガルージン公使より、日本側の申し出は本国にそのまま伝えるという旨の答弁があったというのが今のところの現実であります。

○渡辺(博)委員 今、新聞報道と、やはり実態は聞いてみないとわからないという部分がありますので、今大臣からお聞かせいただいたわけでありますが、やはりそれぞれの国の信頼関係、そして相互理解というのがまさに外交の中心的な課題である、そのように思うわけであります。

 そうした中で、例えば中国、韓国、これは一体どのような形で信頼関係を築いていったらいいんだろうか。外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

○麻生国務大臣 中国とは尖閣列島の問題とか、韓国とは竹島の問題とか、ロシアとは北方四島の問題とか等々、領土問題というのがいずれもとげみたいに刺さっている部分である。そういった意味では、なかなか難しい問題がもともとあるというのは確かだと思います。

 ただ、今、私ども、こうやって見ますと、例えば韓国の場合は選挙があって、自由主義で、民主主義でというところですので、これは中国と韓国とは内容がかなり違いますので、皆、日韓、日中が一緒みたいな話をよくされますけれども、韓国と中国とは基本的な国の内容が違いますので、そこらのところは分けて考えるべきだと存じます。

 その上で、韓国の場合は、日韓基本条約が結ばれたとき、年間往来一年間で一万人と言われておりましたけれども、今では一日一万人を超えて、年間で約四百万人ぐらいになっておると思いますし、いろいろな意味で、人的交流、同じく中国とも猛烈な勢いでふえておりますので、少なくとも、今、韓流ブームという向こう側の映画等々が日本に入ってテレビドラマでえらく受けたり、また、韓国の中においてJポップ、ジャパニメーション、Jファッションという、スリーJと言うんですが、韓国の中で、そういう日本のカラオケを通して、いろいろな形で日本のサブカルチャーと言われるものが猛烈な勢いで広まっておりますし、経済関係も言うに及ばず、そういった関係では極めて関係が深まっておる。多分、日韓関係というのは、戦後六十年間で最もいいんじゃないかなと思うぐらいよくなっておると思います。

 それから、中国に関しましても、日中条約ができた、一九七二年この方で見ますと、日本の経済関係というのは、香港を含んでおりますけれども、貿易総量でアメリカを上回るというところまで来ております。そういった意味では、中国の経済というのが大きく伸びておりますのは大変いいことだと私どもは思っております。少なくとも、一国で日本と対等以上の関係ができるというのはアメリカだけでしたから、その意味では、中国が伸びてきているというのは、これは日本のためにとっては極めていいことなのであって、経済というのは競争をして初めて伸びていきますので、そういった意味では、日中双方にお互いに補完し合
って、いろいろな形でやっている。

 韓国に関しても同じだと思っておりますので、そういった中では、過去の問題等々いろいろもめているところはありますけれども、その問題だけであとの問題が全部悪いというわけじゃないので、あとの問題はほとんどうまくいっておるように思いますので、今後とも、その種の問題に関しては努力を重ねて、いろいろな意味で、日韓、日中それぞれに、私どもとしては対話の努力を重ねていくというのは政治家のレベルだと思いますし、経済に関しましては、政冷経熱と言われるのが、何となく、暴動の騒ぎやら何やらと、経の方も涼しくなってみたり冷たくなってみたりというようなことにならないように、今後とも、その種の努力をしていく必要があるんだと思います。

 全体として見て、日韓は特に、限りなく良好な関係にあると申し上げて、今回もビザというものの査証免除をすることにいたしましたけれども、随分私どものところにはとんでもないという話は幾らでも、電話やらファックスやら来ましたけれども、現実問題として、ワールドカップ以降、査証免除にした三ヶ月間の間に不法滞在等々の騒ぎが韓国と日本との間に著しくふえたかというと、そんなことは全くありませんから。

 そういった意味では、私どもとしては、基本的にこういった信頼関係というものをさらに継続させていくすべを打っておりますので、そういった個人的な人間関係というのが、さらに信頼関係というのが醸成されていく流れにあるというように理解をいたしております。

○渡辺(博)委員 外務大臣、では、ぜひともその信頼関係をつくる環境づくりをしていただきたい。少なくとも、それを破壊するような言動はぜひとも慎んでいただきたいな、そのように思うわけであります。

 さて、ことしの一月に、私ども外務委員会は、一月十一日から十三日にかけまして沖縄に行ってまいりました。

 その目的は、駐留米軍等の基地等の視察と同時に東シナ海のガス田視察、そしてまた石垣島に行ってまいりました。そのときに、まず、日本という国は国境という意識が極めて希薄ではないか、周りが海に囲まれている、したがって、海が国境みたいな意味で、ほとんどその辺の意識が乏しかったんだなということを改めて実感したんです。

 それは、少なくとも、日本の最南端であれば与那国島、この島が日本のまさに国境であります。そしてまた、先ほど外務大臣がおっしゃっておりましたけれども、竹島にしてもそうであります。北方四島についてもしかりであります。

 わが国は、領土というと、大体、臭い物にはふたをしろという感じで、ほとんどその問題について積極的に取り組んできたということはないのではないかという印象を持っているんです。少なくとも、日本という国が成り立つのは、ここの部分は絶対に許せない、譲れない、こういう線があってしかるべきなんです。

 竹島の問題にしても、我が国の領土であるよと言っていながら、実効支配は韓国であります。これをどのように解決していくか、大変重要な問題でありますが、でも、これをただ見ているだけでは困ります。しっかりと、それなりの対応をしていかなければならない。これは、大変領土問題は難しい問題であることは私自身も理解をしております。でも、相手のやるがままに何もしないということでは、まさに、この島はどうぞご自由にお使いくださいというのと同じであります。

 もう一つ、尖閣列島も同じであります。我が国の領土でありますよと言っていながら、新たな行動を行うと、中国が何と言ってくるかわからない。要するに、相手の目の色だけをうかがっている外交では困る、私はそのように思うんですね。

 そこで、とりわけ与那国島の実態を現地の人から聞いたことによりますと、実は防空識別圏というものがあります。この防空識別圏が与那国島の真ん中に通っている。これは私も、もちろん稲嶺知事からも陳情として受けているし、現地の町長からも受けております。なぜ、自分たちの国でありながら防空識別圏が自分の島の上に通っている、これはどういうことなんだ、我々は日本国民じゃないのか、そのくらいの意識ぐらい持つような話だと私は思うんですね。

 そこで、この防空識別圏について、もう過去何度となくこの議論はしております。みんな大体、検討することをしないで、もうこのまま継続していくという形の答弁なんですよね。

 実際に与那国の防空識別圏についての陳情の中には、こういうふうに書いてあるんです。要望は、与那国島上空の防空識別圏について、特段の配慮を願います、大変謙虚な要望であります。説明は、我が国の防空識別圏の日本と台湾の境界線は、与那国島を南北に貫く東経百二十三度に設定されており、与那国島の空域の一部が我が国の防空識別圏外にあることは重大な問題である、そのため、過去において、与那国島周辺において、民間の航空便等が台湾軍機にスクランブルをかけられたこともあります、防空識別圏について、政府レベルで解決を図る必要があることから、国の関係機関において適切な対策を講ずる必要がありますという説明であります。

 こういった説明は過去何度となく行われていることは、この国会の質疑の中にも記録されております。ぜひとも、この防空識別圏というものに対して、ここに住んでいる人たちはどういう意識を持っているか、国民の意識というものに目を向けてもらいたいわけです。

 ちなみに、これは台湾との関係でありますから、台湾はどのように理解しているかということも、我が党の西銘議員が直接台湾に行って聞いてきた、そういう話もありまして、そのときには、実は地図上で落としますと、現在、運用上は向こうもこのように与那国島の周りの十二海里を要するに防空識別圏として扱っていることを、相手の台湾の方から聞いているということであります。

 したがって、こういった防空識別圏というのを、もうそろそろしっかりとした形で、日本の国なんだから、日本の国を守るということが当然必要であります。これは訓令で処理できる内容なんですね。ぜひとも今回この訓令を改正して、与那国の国民が安心して生活できる環境をつくっていただけないか、そのように思うわけでありますが、この問題について、まず大臣に、こういった状況についてどのように思われるか、答弁をいただきたいと思います。

○麻生国務大臣 日本の場合は、御存じのように、大陸の中にある国と違って、いわゆる領土というものに関して、もうそこは島、それから先は海ということになっていますので、何となく意識としては、今おっしゃったように、同じ一坪でも、千葉県の土地の中だと隣が一坪でも文句を言うところなんですけれども、どうも島全体として見ますと、ここから先は何とかという非常にわかりやすい形になっていますので、考え方としては、よく大陸国家とか海洋国家とか表現ありますけれども、そこらのところは、今おっしゃるように、領土という問題に関しては、大陸国家に比べて海洋国家の方が、そこらのところは余りこだわるというのが、海の上なものですから、何となく甘いのではないかという御指摘は、総じて、日本に限らず言えることだと思っております。

 その上で、今の防空識別圏の話は、もうお詳しいところなので、これを今さら重ねて申し上げてみてもあれだと思っていますが、今、別に、運用上余り支障を来たしておりませんので、基本的には防空識別圏というのは領空とか領土とか領域というような性格のものではないものですから、そこらのところは運用が何となくお互いさま、譲り合ってやってきておりますので、今日までそこそこ問題もなく来ているんだと思います。そういった意識が領土問題やら何やらにも関係してくる、影響してくるのではないかという御心配なんだと思っておりますけれども、防空識別圏という話は、今いろいろな形で、飛行機の技術が進歩したせいもこれあり、また、対応するレーダーのシステムとか技術というのが非常に進歩しましたものですから、もう直ちにぱっとわかるというようなことが昔に比べて随分やりやすくなってきているところもありますので、お互いに直ちに、越えていますよとかいうような話が言いやすくなってきておりますので、私どももそういったものは十分に意識しながら、今言われたような問題によって、いわゆるエスカレートして何となくおかしなことにならないように、今後とも努力をしていかねばならぬものだと思っております。

○渡辺(博)委員 本当はもう少しこの防空識別圏の議論をしたいんですけれども、ちょっと時間がないのでほかの質問に入ります。

 同じように、東シナ海ガス田開発、上空からしっかりと見てまいりました。火が上がっておりました。もう着実にガス田が開発されているということをこの目で見てきたわけであります。

 そこで、このガス田開発について、二階経済産業大臣は昨日日本に帰ってまいりましたけれども、温家宝首相とかさまざまな中国の要人とお話しした中で、この東シナ海の問題について解決に向けてどのように対応してきたか、この内容を、ホットなニュースをぜひともお聞かせいただきたいというふうに思います。

○佐々江政府参考人 ただいまの、二階経済産業大臣の訪中でこの東シナ海の件がどうなったかということでございますが、訪中の際に、トウカセン国務委員と会談が行われまして、その際にこの問題について取り上げられたということで、私どもが聞いておりますところでは、基本的に両国でこの問題というのは対話を通じて迅速な解決を目指す、そしてこの東シナ海を協力の海とすべきだ、こういうことで意見の一致があったというふうに聞いております。

そして、この会談の中で、次回の東シナ海等に関する日中協議について言及がありまして、この協議につきましては、行うことにはなっておりましたけれども、いつやるかということについては日中間で決まっておらなかったということでございますが、経産大臣の訪中、この会談の結果として、三月上旬に北京で開催するという方向で一致したというふうに聞いております。

 したがいまして、これを踏まえて、具体的日程について、今後外交ルートを通じて中国側と日程を調整したいというふうに考えております。

○渡辺(博)委員 もう時間が参りましたけれども、最後に大臣、中国とは二〇〇四年四月以来の、二階経済産業大臣の訪問だということなんです。本来であれば外務大臣、しっかりと中国に出向いていって、日中関係のより進展を図っていただきたいな、そんなことを希望して、質問を終わらさせていただきたいと思います。

ありがとうございました。