|
|
|
シリコンバレーは生きていた!!
今、世界経済はIT不況に突入してしまったなどと言われています。
ところが、世界のIT産業の中心地であるシリコンバレーに行ってみたら、ちっとも不況感などなかったのです。シリコンバレーは生きていた!!
これは、現在の日本経済、ひいては世界経済に大きな影響力をもっているIT産業の動向について調査・意見交換するため、8月27日から30日まで4日間、私がシリコンバレーに出張したときの様子です。
アメリカのIT産業は、このところバブル的な盛り上がりを見せていました。そして今、ITバブルがはじけたと言われていますが、現地ではこれは設備投資や雇用をバブル前の適正水準に戻すための調整であるとの見方が大勢でした。この調整が終われば、アメリカ及び世界のIT産業は復活するにちがいないと実感しました。
|
| |
|
SRIにて
|
スタンフォード大学にて
|
 |
 |
| |
| シリコンバレー出張について(詳細) |
1.日程等
8月27日(月)〜8月30日(木)
主要訪問先:スタンフォード・リサーチ・インスティテュート・インターナショナル(SRI)、シスコシステムズ、NTT DoCoMo USA、JETROサンフランシスコ事務局
2.主な調査トピック
(1)シリコンバレーの経済動向
(2)米国のIT不況の影響とその打開策
(3)我が国IT政策への米国の経験の適用可能性
3.得られた主な知見
(1)米国IT不況の原因と企業の対応振り
米国のITバブル発生と崩壊の原因として挙げられたものは、@通信量増加への過大な期待感により、将来を先取りしすぎた過剰設備投資が行われ、それに需要が追いつかない状況になったこと、Aインターネット関連ビジネスへの過剰期待のため理由のつかない高株価となり、BtoCを中心にベンチャー企業の新規上場が相次いだが、現在では8,9割の
BtoC企業が倒産に陥ったことである。
しかし、米国関係者のITバブル崩壊をみる目は極めて冷静であり、いずれの訪問先も単に過剰期待が適正水準に戻っただけで根本が揺らいだわけではないという意識がある。過剰になった雇用や設備を素早く適正水準に調整すれば成長軌道に復帰することは難しくないと把えられている。よって現在を「不況」と捕らえて悲観的になっている企業は皆無である。むしろドットコム企業でさえ全てが死に絶えたわけでなく生き残ったところは成長途上にあり、失敗したところもそのノウハウは業界全体に蓄積されているという意見もあった。更に今回の不況の教訓を生かし、当面の不況に対応するだけにとどまらず需要の変動に対する対応力を高めることにより回復した後の不況の再来に備えるということまで視野に入れた戦略を練っていることも驚きであった。また、レイオフによりシリコンバレー地域の失業率は1年前の3倍にもなっているが失業者の受け皿である労働市場の流動性も高く暗い印象はない。以上をまとめると米国のIT不況はある意味健全な不況といえるであろう。
(2)ベンチャー支援における日本の弱点
SRI関係者によれば、シード技術からベンチャーの立ち上げに至るインキュベーションの過程は、@ソリューション模索の人材の確保(知識ベースの形成)、A良いアイデアを見つけ、小額のシードマネーを与えビジネス開発を行う、Bアイデアを育成して付加価値をつけ、マネジメント、知的財産保護などの専門家のサポートによりパッケージ化し、ベンチャーキャピタル(VC)へのプレゼンテーションにつなげる、CVCにビジネスを育成させる、の4段階からなる。
日本のVCが資金は提供するがマネジメントのサポートや顧客紹介といった点で不十分なところがあるとの指摘は既に良く知られたところである。今回、優れた実績を上げている米国のインキュベーターからみて、日本のインキュベーターが上述の第3段階において、ビジネスプランを練り上げたり、VCへのプレゼンテーションに耐えるだけのパッケージに仕上げるための知的支援の面で不足があるとの指摘を受けたことは、日本のベンチャー支援における重要な課題の所在を示したものと受け止められる。
また、シリコンバレーで起業に成功した日系ベンチャーが日本への進出・起業に二の足を踏んだという話があった。理由は、出資を募ることには目途がついたが、運転資金の確保のため銀行融資を申し込んだ際に個人保証を求められたからということである。これは日本では倒産時の起業家個人へのリスク負担が大きいことが参入の道を閉ざしていることを示唆している。日本では廃業率が開業率を上回るという事態が生じているが、米国のように失敗者となっても容易に再起できる制度慣行が必要である。
(3)職業訓練におけるeラーニングの有効性
日本では失業者・新規就業者のIT分野での人材の教育育成をいかに迅速かつ低コストで効率的に行うかが重要な課題の一つである。ネットワーク技術者の職業訓練にeラーニングシステムをフル活用しているシスコ社の先端的事例は参考になる。
シスコ社で運営しているeラーニングシステムには以下のような特徴がある。
@Web上で全てのテキスト・画像等の教材を提供しており各地に分散している社員が必要に応じて使用している。
Aセミナーや講演もWeb上で行い、一堂に会する座学形式の研修を最小限にし、その分対面研修を厚くしている。
Bプッシュプル技術の活用により管理者側はWeb上で個々の社員の修得状況を的確に把握するとともに、必要な知識修得を指示することができる。
C顧客へ提供しているシステムを実際に企業内で使用し、逐一改善を行っている。
D企業内に蓄えた最新の技術・情報を随時Web上で公開している。
E4年前からWeb上に開設したネットワークアカデミーで実際に社外の卒業生にシスコ社認定の資格を与えている。
このようなeラーニングシステムの活用から、研修コストを大幅に削減すること、社内の人的能力の把握に基づき的確な研修計画立案や人材獲得が行えること、新製品への迅速な対応・システムの透明性の確保により顧客サポートが充実できること、などのメリットが得られている。
シスコ社の例からも分かるようにeラーニングは多くをWeb上で処理可能であるため、空間的・時間的乖離を問わず、いかなる学習希望者にも低コストで必要に応じた知識を与えることが可能である。加えて、各受講者の修熟度に応じた対応も可能であり、資格の取得を目指した学習に最適である。よって政府の行う失業者の再教育対策でも非常に有効であると考えられる。Web上にコンテンツを出すことはコスト的にも容易に可能であるので、政府に期待されるのは失業者にアクセス方法を提供することである。米国では低所得層の技術修得に貢献しており、日本においても政府がバックアップすれば大きく普及するのではないか。
( 以 上 )
|
|